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2015-03-05 [Thu]

飲めばダウン症が治る薬があったらどうするか、という問題

奥山佳恵さんの育児日記である「生きているだけで100点満点」を読んだ。

その最後のほうに、「飲めばダウン症が治る薬があったらどうするか」という問いかけがあった。同じ内容は、以前バリバラで放送されたドラマの中でも扱っていたな。

もし、ダウン症が治る薬があったらどうするか。

という思考実験をするためには、「ダウン症が治る」とはどういうことか、を明確にしないといけない。

可能性1:3本ある21番目の染色体のうち、多い一本を消し去ってしまう。

ダウン症が治るというと、こういう薬を想像するかもしれない。実際、奥山佳恵さんもどうやらこういう薬を想像しているようで、「薬を飲んだら美来生くんが美来生くんでなくなってしまう」という表現を使っている。

まず、染色体というのは身体の中のすべての細胞にあるわけで、この薬の役割を厳密に考えると、身体のすべての細胞の染色体を書き換えることになる。それは確かに別の人間=別のDNAを持った個体になってしまうことだ。

そんなことが本当にできたとしても、それは経口薬じゃないだろうというつっこみはさておき、ある程度まで成長していれば脳の回路はできあがっているだろうから、別の人格になるということはないんじゃないかと思う。別の個体にはなるけれど。

可能性2:3本ある21番目の染色体の、多い一本が存在することで発生する悪い影響を取り去ってくれる薬。

こちらのほうが現実的で、これはどんどん飲ませたいと僕は思う。ようするに、胃腸の消化液の分泌が普通の人より少ない人が薬を飲んで消化を助けてもらうのと同じようなものだ。あるいは、うつ病の人が抗うつ剤を飲んでセロトニンの増強を図るのと同じことだ。

ということでだな。

思考実験をするのなら、そもそも障碍を持った人間とは何か、っていうところから考察しないといけないんじゃないのん?と思うわけだ。

生きてるだけで100点満点!(奥山 佳恵)


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