告知など


2004-06-06 [Sun] ライブ

たまたま電話の音を切っておかなかったら鳴ったので出てみたら、月々10万円からの

マンション購入がどうとかいう勧誘電話だった。ちょうど寝起きで声がかすれていた

ので、その状態を維持しつつ

「とても……そんなお金払えないんです……」

「失礼ですが、おいくつですか?」

「もうすぐ32歳になります……。そんな10万なんてとてもとても……ハハハ」

などという感じで、もう声だけでダメ男ってのが分かる感じの応対をしてみた。

わりとあっさりと相手のほうから話しを打ち切った。

貧乏バンザイ!


知人が飛び入り参加するライブに行ってきた。

なんでいきなりそういうのに行ったのかというと、一応理由がある。

僕はその昔、コンピュータ音楽の研究者の顔をして国際会議に出たりなぞしたことが

あったりするのだが、その時にどうしても理解できなかったのが「この音楽のような

音のようなものは、いったい何なのだろうか」ということであった。「この」という

のはいわゆる前衛音楽という奴だ。普通にそこらに転がっている「曲」「音楽」とは、

全然違うものだ。彼らが作っているのは何なのかが、どうしても謎だった。

「彼らは『曲の素材』を作っているのだ」と考えていた時期もあったが、それにして

は作品として指向しすぎている。

ところが先日、自分的には納得できる説明というかアナロジーに思い至った。

文芸に例えれば、あれは「詩」なのである。一般受けし商品として成立する小説では

ないが、言葉のエッセンスを詰め込んだ「詩」なのである。

そう考えると納得できる部分が多い。

「詩」から言葉のエッセンスを取り出して、小説に展開することはできる。

前衛音楽から音のエッセンスを取り出して、楽曲に展開することもできる。

小説は多くの人が読むが、詩集を読む人は相対的に少ない。それどころか、詩という

ものの面白さを理解できない人も多い(かくいう僕も、詩にはあまり魅力を感じない)。

普通に売られている音楽は、ジャンルでの好き嫌いはあるだろうが、前衛音楽は

そもそも何が面白いのか理解できないという人がいる。それどころかやっている本人

たちも「どうして誰も喜ばないような音楽をやっているのだろう」と考えている人が

いるくらいだ。

などということに先日思い至ったのだが、そんな時にたまたま知人のサイトでライブの

案内を読んだ。どういうライブか良く分からなかったのだが、もしかしたら何か上記の

知見に関係することが得られるかもしれないと思い、行ってみようかと思い立った。

ここで何がすごいかというと、僕のようなひきこもりヲタ男が出かけようかと思った

ということは、きっと何かのスイッチが入ったに違いないということであり、こういう

スイッチは大事にしないといけない。

というわけで、お洒落なアーティストたちが集うであろうライブというものに、行って

きたのである。

で、ライブなのだが、色々あったけれどメインは「ホーメイ(一人で二つの音高を

出す発声方法のこと)と色々なことを一緒にやろう」という感じであった。

以下、思ったこと。

・ホーメイをメインにして、これだけのことが出来るのか、という新鮮な発見が

あった。

・ホーメイとソプラノと詩吟とのセッションは面白かった。こういう組合せになる

のねという意外な感じ。胡弓のような楽器の多少ざらついた音も良い。

・ACIDにアナログシンセかぶせましたという感じの、トランス(ともちょっと違うが)

の曲は、神経症には辛いので、いや本当に心臓に悪いので、勘弁してください。

・今回のライブの趣旨として、機械系の人とホーメイとが一緒のステージに立とうと

いうものがあるっぽかったのだが、現実的にはそれぞれがそれぞれの演奏をした

だけという印象があった。本当に一緒にセッションすれば面白いのに、と思う一方

で、それを実現するためにはディレクターなりプロデューサーなりの強烈なコント

ロールが必要だろうから、こういう感じでやっている人達には合わないのかもしれ

ない。

・結局当初の目的については、やっぱりそうなのかもしれないけれど違うかもしれず、

少なくとも詩と小説の違いよりは境界が低そうな感じがした。


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