告知など


2004-06-01 [Tue] 続・美鳥の日々

SFというのは、少しのフィクションを種にして、科学に基づいて想像を拡げる

ものだ。フィクション以外の部分は現実の科学に忠実にすることで、意外な発見

に出会う面白さがある。同時に書き手には、想像力と観察眼が問われることに

なる。

もしこの方法論を「美鳥の日々」に当てはめたとしたら、どういう物語を作り

出せるだろうか。

例えば右手が使えなくなったら色々困るだろうことは容易に想像できる。そういった

苦労とその解決方法を一つ一つ想像することは非常に興味深い。また、主人公は

「黄金の右手」と呼ばれており、右手の拳に一種のアイデンティティを持っていた

はずだ。それが壊れてしまったのだから、その点での葛藤などもあるだろう。

このような、日常で当り前と思っていた行動が当り前に出来なくなる発見や、自己の

探求などという内容に掘り下げていくことができるはずだ。

ところが(少なくともアニメの)「美鳥の日々」は、このような掘り下げはほとんど

行なわれていない。単に女の子がやってきました、協力して楽しい生活をしています。

というだけの日常物語になってしまっている。

言い替えれば、そういう日常物語を読者は求めていることになる。

SF的発見の感動や、自己の探求などよりも、女の子とのドキドキ生活を求めている

のである。

しかし、連載するにあたり、前者の方向性で展開できるかというと、私はどのように

続ければ良いのか思い付かず、やはり後者の戦略を取るだろう。しかしアニメ放送は

期間が限られている。全面的に作りなおすことも可能だったはずだが、原作を尊重

するというお題目の元に、それをしなかったのだろう。このあたり、連載漫画の

アニメ化の難しさがあるのだろうと思われる。


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