告知など
- 「勇者彼女がトイレから出てきません。」
- 彼女がうちのアパートに来たかと思ったらトイレに入って出てこなくて、 何をしているかというと、異世界で勇者をしている話。
- 「ダウン症があるとかないとかどうでもいい、誇りがあればいい。」
- そろそろ子育てエッセイなどというものを書いてみようかと思った次第。
- 「小説生成システム開発計画 - プロジェクトNUE」
- 計算機に小説、いや、使い物になる文章を作らせてみようという試みを、 勉強しながらやってます。
2003-08-02 [Sat] ヤラレマン
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やあ! 俺の名前はヒカレマン。今日も社会の道路交通治安維持のために、活躍する
正義の男だ。
俺の仕事は簡単だ。
信号無視、乱暴運転、居眠り運転。そんな危ない車を見付けたら、その前に飛び出す
のだ。
まちがいなく俺は轢かれる。
そして車が止まり、運転手が降りて来る。
俺は道路に倒れたまま、自分の携帯電話で警察に電話する。
まちがいなく運転手は逮捕される。
ああ、これでまた一人の悪人を葬り去った。
俺は超人的回復力で病院を後にすると、新たな目標を探して歩き回るのだ。
▼ ある日、渋谷の繁華街を歩いている時のことだった。俺は一人の男が不良に絡まれて
いるのを発見した。男は見るからにチンピラ風情の数人の不良に囲まれて、ボコボコに
されていた。やがて不良たちは傍らに停めてあったバイクに跨ってその場を去ろうと
した。ノーヘルだ。これは見逃せない。
俺は不良のバイクの前に飛び出した。
俺は轢かれた。
地面に伏した俺は、携帯電話を取り出した。ふと見ると、さっきまで殴られていた男
も、携帯電話を出している。番号を押し、受話器に呼びかけた。
「「もしもし、警察ですか?」」
二人の声が重なった。
俺と男は顔を見合わせた。
それが彼との出会いだった。
▼ 彼の名前はナグラレマンと言った。渋谷、新宿、池袋などに集まっている不良たちを
見付けると、わざと絡まれるようなことをして、殴られたあと警察に電話するのだ。
まちがいなく、不良たちは逮捕または補導される。この方法で、何人もの若者を警察に
送りこんで来たらしい。
俺たちは意気投合した。いや、彼の方がむしろ行動範囲が広く、先輩である。俺は彼
を兄貴と呼ぶことにした。そして俺たちはチームを組むことにした。
▼ 俺たちは「ヤラレマン 1号&2号!」
▼ 共に日本の平和を護ろうと誓いあった。
「しかし、後の処理を官憲に任せるというのはどうかね」
「では、改心するのなら見逃すというのではどうでしょうか、兄貴」
「うむ。でも本当に改心するかどうかの保証がないな」
「それでは、金を取りましょう。例えば十万円、それなりの額です。彼らが十万円
払っても改心すると約束するのなら、我々はそれを信じましょう、兄貴」
「うむ、そうだな、それで行こう」
▼ ヤラレマン 1号&2号、出動!
▼ −−本日夕方、渋谷区の路上で男性二人組が恐喝罪で現行犯逮捕されました。二人は
いわゆる「当たり屋」行為をしており、自ら自動車の前に飛び出して怪我をした振りを
して、運転手に金銭を要求したという疑いが持たれています。警察では「自分達から
警察に電話をかけていた。不思議な連中だ」とコメントを発表していますが、更に余罪
があると見て調査を進めています。