告知など


2001-07-17 [Tue] ブロードバンドルータについて

知人の家が引越しとともにADSL化したので、頼まれてル−タのセットアップに

いく。ル−タは更に別の知人からの借り物。PPPoEの認証でこけるので変だと

思ったら、まだADSLオプションの申し込みをしていないとのことで、その場で

変更してもらう。

無事に開通。

その後おすすめのル−タ話しになる。

ヤマハから6月頃にル−タが発表になるという噂を聞いていたので、それを待

つことにしようと以前から話していたのだが、発表されたのはRTA54iという微

妙な製品だった。だから、どうしましょうねという話しになったわけだ。

もしもRTA54iからISDN関係を取り除いて、IPsecにも対応して3万円なら、か

なり皆が望んでいたものになるはずだ。

しかし、ヤマハの苦悩も分らないではない。ISDNのLSIも自社開発しているか

らヤマハのISDNル−タは強い、という部分もあったわけで、それを切り捨てて

しまうかどうかは、おそらく社内での論争(もしかしたら政治的勢力争いも)が

あったにちがいない。結局ISDN機能を残したわけだけど、ADSLとISDNとを併用

してバックアップ体制を引く人は普通いないので、用途は128Kbpsの専用線を

バックアップに使うというものに限定される。しかし、家庭用でこれにどれだ

けの需要があるかは疑問だ。

また、こういう予想もできる。会社としては、生産ラインを一本に絞りたい。

従来のRTA52iを作りつつRTA54iも作るというのは避けたい。それならまとめて

しまえということで、RTA52iにEtherの口を追加してみました。お得でしょ。

結局RTA54iは市場の要求には合わないものになり、少なくとも新規顧客を開拓

することは難しいだろう。購入するのは、従来からヤマハ製品を使っていて操

作に慣れている人か、IPv6で遊びたい人か、ステ−トフルインスペクションの

機能がどうしても欲しい人かで、やっぱり今の顧客の中の玄人指向の人という

ことになる。

次のポイントであるIPsecについて考えてみよう。IPsecを積んでくれると、

VPN遊びがでいるし、IPv6にはやっぱり欲しい機能なのだが、ヤマハはこのク

ラスのル−タにはIPsecを積まない。理由は二つ考えられる。性能の問題と製

品間での差別化の問題だ。

性能については、IPsecはそれなりに重い処理なので、CPUパワ−からすると性

能がいまひとつ出ないのかもしれない。しかし、仮に十分な性能が10でRTA54i

で出せる性能が1だとしても、0と1の間には大きな壁がある。やっぱり遅くて

も使えるというのと、使えないというのでは意味が違うし、遅いル−タで使っ

てみて、遅いけど便利だと思ったら上位機種を買う動機になるだろう。

製品間での差別化については、ソフトウェアには常についてまわるジレンマだ

と思う。実際、同じア−キテクチャだったらIPsecを有効にするかどうかなん

て、ファ−ムウェアのコンパイルオプションを切り換えるだけの話しだ。でも

それをやってしまうと、RT140との差別化が図れない。だからIPsecなし。なん

かMicroSoft的商法で嫌な感じだけど、でも世の中では普通に行われている。

なんかイヤね。

最後にル−タとしての速度について、まとめておこう。rt100i-usersで話しを

振ったのは私なので。最近のブロ−ドバンドル−タは、転送速度を公開(宣伝)

しているものがある。大体8Mbpsよりも速いと宣伝材料に使うようだ。

NetGenesis OPTでは20Mbps以上を謡い文句にしている。これに対して、RTA54i

は当初数値の公開に非積極的だったが、rt100i-usersで関係者から返答があっ

た内容では、チャンピオンデ−タで約5Mbpsだそうだ。

私はこの数値に対して、二つの理由から問題ないものという判断を下している。

まず、10BASE-Tの速度なんて、大体そんなものだという点。もし今のPIIIのノ

−トPCにPCMCIAのNE2000互換のカ−ドを刺して速度を測ってみたとしよう。多

分500KB/sくらいだと思う。ドライバの出来、チップの種類、ハブの相性など

の計測環境によっても左右されるが、まあこの程度でも何の不思議はない。

Etherのコントロ−ラの種類にも依存するので、RTA54iのLAN側の10BASE-Tを

100BASE-Tのコントロ−ラに変更するだけでも性能は改善されるかもしれない。

もう一つの理由は必要性の問題だ。10Mbpsくらい速度を標傍しているル−タの

売りは、FTTHでも大丈夫、である。ここでのFTTHはNTTの10MbpsのFTTHサ−ビ

ス(Bフレッツとか言っていたっけ?) を指している。しかし私は、このNTTの

サ−ビスは、失敗すると思っている。なぜなら10Mbpsで頭打ちにする技術的な

理由がないからだ。実際USENや東京電力がFTTHのサ−ビスを始めようとしてい

るが、どちらも速度は100Mbpsだ。10Mbpsというのは、ファイバ−の問題では

なく交換器の問題である。NTTが一生懸命10Mbpsをさばく交換器を配置しよう

としている横で、身軽な中小のキャリアが自前、もしくは開放が必須になった

NTTのダ−クファイバ−を使って100Mbpsのサ−ビスを引いてしまうに違いない。

多分NTTとしては、それらの企業が手を出さないような地方にもサ−ビスを提

供するのがNTTの強いところだとかなんとか言いそうだが、それが赤字の原因

でかつ民業圧迫になっているんだが…

で、とにかくFTTHは10Mbpsを通りこして100Mbpsに行くと思っている。そうな

ると今の5万円以下のル−タの性能ではとても処理できない。だからFTTH用の

ル−タってのは、全然別の物として考えた方が良いと思う。

結局RTA54iの評価なのだが、う−ん、ちょっと人には勧められないなあ、とい

うのが残念だが正直なところだ。

なぜ私がヤマハの製品にこだわるかについては、RT用IPv6スタックである

WS-Oneの開発に関わったからである、というのは公表されている事柄なのでこ

こで喋っても問題はなかろう。


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